「BLACK TOUR 2022」6/10福岡公演レポート

6月10日(金)にZepp Fukuokaで行われた『ブラックスター -Theater Starless-』のライブツアーイベント「BLACK TOUR 2022」福岡公演のレポートを公開!

 


 

福岡の街へとやってきたブラックツアーもこのツアーのために作られたオープニング映像から始まった。スポットライトを浴びたダンサーが次々に個性漲るパフォーマンスを魅せ、ライブの幕開けを告げる。躍動するダンサーの中からシンガーが登場。ずらりと並ぶその真ん中にはチームPのシンガー3人の姿が。「僕のすべてを君に捧げる」のイントロが響くと「さぁ!BLACK TOUR 福岡!はじめましょう!」とリンドウのシンガーを担うあじっこ。「盛り上がっていきましょう!」と真珠のシンガー・スタンガンも声をあげ、歌いだしたマイカのシンガー・Kradness。PASSION、HAYATE、巽imustat、YU-TAらが艶ある楽曲の世界観をダンスでフロアへと届けていく。「福岡、ここから盛り上がっていきましょー!」と歌い終えたKradnessの声に誘われるように「希望の旗のもとに」が会場へと放たれる。アレクサンドル・デュマ『三銃士』の物語を歌う一曲を、騎士道さながらのスピード感で聴かせるKradnessとスタンガン。ライブならではの熱を帯びていくふたりの歌声に、PASSIONらダンサーのスピード感漲るパフォーマンスが物語に迫力を加えていく。

唸りをあげるようなイントロで吉野シンガー・齋藤知輝(Academic BANANA)が登場。「Treasured」吉野バージョンを響かせると、2コーラス目ではあじっこがバトンを受け取るように対決相手であったケイのバージョンで歌う。齋藤はステージで一人。対するケイバージョンでのあじっこはダンサーを率いての王者然とした歌唱。いきなり対決の色で染まったステージを紫色の照明が浸食していく。チームCの時間であることを知らせる光だ。柘榴シンガー・しゃけみーがマイクを握ると「Just live to dance」が響き、理土たちがしなやかでダイナミックなチームCのダンスで見せる。その真ん中に立つしゃけみーは、気紛れではじめたダンスに魅入られた男の物語を紡ぐ一曲を妖艶に聴かせた。続いてソウルフルな歌声を響かせたのは夜光のシンガー・松本明人(真空ホロウ)。YU-TAらダンサーと共に登場すると「波のままに」で意思を宿す歌声を聴かせ、会場の熱を高めた。

さらにチームBのヒースMC・Takuya IDEが姿を現す。一人、ステージの中心に立つと「Judas」の言葉を紡ぐ。ユダの物語が静かに会場を浸食すると、TAKAHIRO、TORA、SHIMa、たぬきが加わり、スターレスのショーを彷彿とさせる5人一体のパフォーマンスでオーディエンスを静かに席捲していった。福岡ライブの序盤。顔見世パートの最後に登場したのは小林太郎。チームWのシンガー・晶の歌声で、ゲーム内では「Judas」の対決曲、アグレッシヴでラウドな「Bad Blood」を響かせる。ヴェルディのオペラ『エルナーニ』を原典とした元大貴族だった山賊の首領の男が奪われたすべてを取り戻す戦いを歌う一曲は、会場の空気を一変させ、TORA、理土、SHIMa、Shumeiの全身全霊で躍動するダンスも相俟って灼熱の熱気を生み出した。

歌い終わった小林を迎えたのは齋藤と松本のチームKシンガーコンビ。ミクチャ生配信の視聴者にも声をかけつつ、福岡について、そしてセットリストについて語り合う3人。全国でライブが出来るのは普段からゲームを楽しんでくれているユーザーのおかげだ、と小林が感謝を述べる。夜光が歌ったことで参加するようになった松本もブラックスターのライブに馴染んできたと2人に言われ、笑顔を見せる。小林の「マイダンサーズカモン!」の掛け声でダンサーたちがステージへ登場。福岡でぶちかまされる銃声。小林が歌う「BLACKSTAR」だ。スターレスの全てのキャストたちのアイデンティティを詰め込んだような一曲に続いたのは、やはり「BLACKSTAR」の対決曲、チームCのダンサブルなナンバー「続きは明日の夜に」だ。『千夜一夜物語』を原典に描かれたアッパーチューンに乗せて、艶めくステージングを繰り広げる。指の先までも美しく魅せる渡辺謙典たちのダンスにチームCを見た。そのあとに登場した齋藤が情緒たっぷりに「ひらひらり」を歌い上げる。「チームKのシンガー・齋藤知輝。吉野として精一杯歌います。……届くよね?」と告げると、彼に応えるようにフロアで無数のピンクの光が揺れた。

昨年のブラックスター初の全国ツアーで、チームWとともに福岡でのライブを盛り上げたチームBのIDEが、「ここがホ-ム」とばかりに独壇場をみせる。轟く銃声に撃ち抜かれるようなパフォーマンスからの攻撃的な一曲「毒蛇」でオーディエンスを圧倒した。「暴れていいぞー!」とIDEの声が放たれる。フロアを占める緑の光が大きくうねる中、チームBのパフォーマンスではお馴染みのダンサーらとと共に今にも飛び立ちそうなダンスで魅せる「不死鳥」、さらにオリエンタルなイントロが降り注ぐように「炎神」を響かせ、北欧神話の巨神・ロキの放つ炎の如きトラックで福岡の夜を熱く熱く熱した。

ここでのMCはIDEとしゃけみー。ツアーに向けて気合を入れて来たというしゃけみーに興味津々なIDE。なんとしゃけみーのヘアカットを担当している方はスタンガンとあじっこも担当されているのだとか。そんなしゃけみーが「マイダンサーズカモン」を響かせ、ここからチームCのステージへ。ダンサーと共に色香滲むアッパーチューン「虚構の肖像」を歌い上げる。享楽に生きる老いぬ男が隠し持つ、老いていく肖像画を軸にしたオスカー・ワイルドの唯一の長編小説『ドリアン・グレイの肖像』がモチーフの曲を立体的に見せた。

続く「Sub rosa」はモーツァルトの『魔笛』を原典とした楽曲。ドラマティックで情熱的なそのナンバーをRYOMAたちダンサーと一体となって聴かせたしゃけみーの後に登場したのはIDE。「俺の大事な曲、一緒にノっていってよ」とステージに腰掛けると、語りかけるように「Monokaki」を歌う。直後、6月1日から開催となったシーズンイベント「Be With You」の公演ソング「Run away together」のイントロが響き、フロアの光が動揺するように大きく揺らぐ。チームK・ケイが歌うこの曲を歌うのは松本だ。フェデリコ・ガルシーア・ロルカが綴った悲劇『血の婚礼』をモチーフに、花嫁を浚った男の愛の逃避行が歌い上げられると、同じ原典から花嫁を奪われた花婿の物語を歌うチームWの「月影紅く」を小林が切々と歌い上げる。実装されたばかりの対決楽曲がまさか生で聞けるなんて。オーディエンスも驚愕したことだろう。それもまたブラックスター、そしてツアーの魅力である。そしてシンガー・晶のボーカルの真骨頂とも言えるラウドなミディアムチューン、赤穂浪士の討ち入りを思わせる世界観の振付のついた「雪花」で、熱の塊のような歌声を放った小林のボーカルの余韻のままに、静かな夜の海を思わせるように音が紡がれていき、松本が登場。儚さと切なさと、それでも強い想いを宿す「沈まぬ月」を歌うと、吉野シンガーの齋藤も姿を現し、二人で歌声を重ねていった。そんな一曲が終わると、「沈まぬ月」の対決曲、スタンガンの歌声からはじまる「雨傘」へ。ステージの空気が一変する。樋口一葉の『たけくらべ』がモチーフであるナンバーは、スタンガンとKradnessが背中合わせにスポットを浴びていたのが印象的な曲のはじまりとなった。HAYATEたちダンサーは傘を手に、楽曲の雨模様や切なくも愛しく悲しい愛の物語をその表情からもエモーショナルに伝えた。

ここでMCに登場したのは王子様のような「BLACK LIVEⅡ」の衣装に身を包んだチームPの3人。「今日のセトリはビシビシと対決曲ばかり、立て続けにお届けしました」と笑顔を見せたのは、ヘビー嬢ちゃんとしても知られるあじっこ。続くようにKradnessとスタンガンも楽しんでいることを述べていく。初福岡だというスタンガンは「今日は美味しいものを食べようと思います」と言い、それを聞いたKradnessが「僕はもう昨日、もつ鍋を食べさせていただきました」と笑顔で語る。ごはんの話を中心に盛り上がるチームPの3人にほっこりしたMCパートだった。 そんな話題の後に、ライブはラストスパートへ。スタンガンが切々と歌い上げるのは、雪が降り積もるように言葉が積もっていく「Without her?」、そんな一曲と対決での物語を盛り上げたチームKのケイの歌う「snowflake」を再び松本が歌い上げる。トルストイの著書である『戦争と平和』をモチ-フとした享楽の恋を描いた一曲は、松本のソウルフルな歌声とバイオリンの旋律が色鮮やかに響き、雪のように一人で舞うPASSIONが松本の歌と共鳴した。続いたのはブラスタ最初のクリスマスソング「Salva me」をあじっこが歌うと、さらにハロウィンイベントの一曲「Trick or Truth」をKradnessが伸びやかな歌声で響かせる。「福岡、まだまだアガっていきましょう!」と登場したスタンガンは「Violet」を歌う。森鴎外の『うたかたの記』を基としたこの曲は、4月に実装されたばかりの一曲だ。爽快なサウンドに壮大な物語が紡がれた新曲に続き、あじっこが「陽はここに」を歌い上げると、そのあじっことダンサーが歌と一体となったようなダンスを見せた。

そしてチームPの最初の歌である「虹の彼方へ」へ。シンガー3人バージョンで響かせ、チームPの強みである3人のシンガーという編成と、彼らを通して結束を固めてきたあじっこ、Kradness、スタンガンの歌声のシンクロ感とを感じさせた。いつのまにか衣装を変えていたダンサーたちも、もちろんフロアのオーディエンスも、みんなが自然と笑顔になってしまう。そんな一曲だった。
ここで福岡公演に出演したシンガーが全員登場。最後はオーディエンスへと挨拶。
「みなさま情緒が大変なことになっていることと存じますけれども、半ば僕のせいなのかなという感じでもあります。いろんな歌をバーンと…(歌いました)。そんな感じで残り2本もみなさんの情緒をぶっ壊しにいきますので、どうぞよろしくお願い致します」(松本明人)
「先日、吉野の称号が手に入る日があったので、僕もここぞとばかりに、特にその日は一生懸命頑張ったのですが、開始1時間で圏外って出て諦めちゃったんですけど…もちろんステージや歌は諦めずに、吉野の歌をうたっていきたいと思います」(齋藤知輝)
「今日はチームPからスタートさせていただくということで、髪型も真珠を意識させてもらって、ばっちりとPのPを出しました。本当に本当に楽しかったです。残りのツアーもまだまだ盛り上げていきます!」(スタンガン)
「今日はPにはじまり、Pラッシュという形で、本当にPのみんなとパフォーマーのみんなとほかのキャストのみんなも大好きなので、引き続きマイカを背負って歌を届けていきたいと思います」(Kradness)
「福岡でチームPをお届けできたことを本当に嬉しく思っています。今日チームPの曲をお届けする中で、この3人が本当にチームだ、と心から思うことが出来ました。ツアーは残り2公演。最後まで走り抜けていきますのでよろしくお願い致します」(あじっこ)
「人生初福岡なんですが、ここにきて素晴らしい公演に出会えました。刈り上げてきて良かったです。まだまだ公演は続きますのでよろしくお願い致します」(しゃけみー)
「去年のツアーはチームごとに場所が違いましたが、今回はみんなでずっと一緒にいて、それぞれの楽曲の理解が深まってくると不思議なことに自分の曲もずっとやっているのにもっと深く入っていく感覚があります。ゴールまで頑張っていきます」(小林太郎)
「ツアーを重ねる中で曲がすごく成長をして、今まで見せてこなかった表情を見せてくれるんですよ。だから今日の九州でのライブでは遊びを入れてしまって、すごく楽しいライブができました。ありがとうございました」(IDE)
ラストはチームP。Kradnessだけではなく3人で歌う「銀河鉄道を探して」。マイカ、リンドウ、真珠の歌声が重なっていくことで重厚に、エモーショナルに響く歌が会場に夜空を見せると、出演者が全員登場。出演者が手を繋ぎ、最後の挨拶…と思ったらなんとイントロが!「もうひと花咲かせようぜ!」とあじっこが声をあげると、アゲアゲな「ひなげし」でオーラスへ。ダンスナンバーがテンションマックスなステージで、残るツアーの2公演へと熱い歌のバトンを放った。

 

 

TEXT BY えびさわなち

 

▼出演者
齋藤知輝(Academic BANANA) (吉野 Singer)
松本明人(真空ホロウ) (夜光 Singer)
小林太郎 (晶 Singer)
あじっこ (リンドウ Singer)
Kradness (マイカ Singer)
スタンガン (真珠 Singer)
Takuya IDE (ヒース MC)
しゃけみー (柘榴 Singer)

 

▼DANCER
PASSION
理土
HAYATE
TORA
SHIMa
たぬき
渡辺謙典
RYOMA
Shumei
巽imustat
YU-TA
TAKAHIRO

 

▼STAFF
総合演出:福山 桜子
音楽監督:阿部 隆大
振付:楢木和也 (梅棒)、泰智 (KoRocK)、CluMsy CracKer-Jack、
制作:株式会社ONTASTE
主催:DONUTS