「BLACK TOUR 2022」5/21横浜公演レポート

5月21日(土)にKT Zepp Yokohamaで行われた『ブラックスター -Theater Starless-』のライブツアーイベント「BLACK TOUR 2022」横浜公演のレポートを公開!

 


 

ブラックスターシアタースターレスが2年連続で「BLACK LIVE」を開催した会場・KT Zepp Yokohamaに、スターレスのお客さまが集結。全国を巡る「BLACK TOUR 2022」の開催地に、ここ横浜もラインナップされていたのだ。しかもツアー開幕の羽田、続く大阪とは違い、全シンガーが揃うとあってオーディエンスもその期待感に、これまで以上に熱を放っていた。フロアが暗転。ノイズのような音と共に、会場は横浜からその場所をスターレスのある街へ。スポットがあたると、今日、ステージを彩る12人のダンサーが、名乗りをあげるようにダイナミックなダンスを見せ、そこへシンガーのシルエットが浮かぶ。「BLACK TOUR 2022、KT Zepp Yokohama!ライブを始めるぞー!」と、ヒースMC・Takuya IDEが雄叫びをあげると、誘われるように全員で歌唱する1周年楽曲「Just a Loser」が響く。轟くドラムの音を飲み込むように会場を席捲していくシンガーの音色は圧巻の迫力。

今回のツアーで初めて揃った、チームKのシンガー3人による「MADNESS JOKER」。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を原典とし、各チームで異なる視点でショーを行った2周年イベントが記憶に蘇る。吉野のシンガー・齋藤知輝(Academic BANANA)の歌に、ケイのシンガー・藤田玲の歌声、そして2人に重なる夜光のシンガー・松本明人(真空ホロウ)の歌声は、それぞれの音をより深く響かせ、ソロパートではソウルフルな歌声を放った。

そんなチームKのパフォーマンスを、Shumeiたちダンサーが重厚なダンスで色づけると、続いたのは同じ原典をチームWの視点で奏でる「GOLGODA」だ。晶のシンガーである小林太郎が、TORAたちダンサーを率いて登場して、雄々しい歌声をエモーショナルに響かせる。小林のシャウトに煽られるようにダンスも荒々しさと共に情感豊かな様を見せた。2周年楽曲は続く。銃声と地を轟くようなビートとで聴かせるのはチームBの「毒蛇」だ。ドストエフスキーの同じ作品からこれほどまでに角度の違う楽曲が生まれるのもスターレスの個性。歌だけではなく、TAKAHIRO、たぬきたちダンサーと共にチームBの縦横無尽に魅せるダンスでも会場の視線を奪った。

フロアの空気をガラリと変えたのはKradnessの声。センターに立ったマイカシンガーのKradnessが歌い出すと始まるチームPの「Only seek you」。煌めきの音がまるで降り注ぐようなステージで、リンドウのシンガー・あじっこ、そして今回のツアー初登場となる真珠のシンガー・スタンガンが、チームPならではの華やかで色鮮やかな歌声で会場を鮮やかに照らし、ダンサーたちが感情宿るダンスで舞台に輝きを刻んでいった。2周年楽曲の原典『カラマーゾフの兄弟』パートのラストを飾るのは、本ツアー初登場となる柘榴のシンガー・しゃけみー。「Sanctus」を歌い上げ、艶ある歌声と、渡辺謙典、PASSION、理土、巽imustatのパフォーマンスとで、聴覚はもちろん視覚もチームCの色に染め上げていく。甘さがありながらも棘を内包するようなその声が美しく優美な歌を紡いでいった。
「すごかったですね!素晴らしかったですね!」とMCで登場した小林、IDE、そしてしゃけみー。5連続の2周年楽曲で、全員で十字架を背負った歌で綴っていったパートからのスタートについて3人も「すごかった」と感想を告げる。そしてこの日、初登場のしゃけみーをいじるIDEと小林。シンガーの仲の良さを垣間見せた。
ライブの再開を告げたのはチームW。SHIMaをはじめとするダンサーたちが登場して、フロアを煽ると、小林も共にジャンプしながら「Breakin’ it faster」でライブに加速を付ける。

情熱の炎に燃やし尽くされるような熱を帯びた「Burning breath」でパワー漲る圧巻の歌声を聴かせると、バトンはチームBへ。チームBの一体感を荒くれたダンスで魅せる「影炎」を響かせる。この日までのツアーでは渡辺謙典によるダンスで魅せてきたチームCがいよいよ本領発揮のステージングを見せることに。映像の演出でも独特の雅な世界観を見せた「暁の願い」は『天守物語』を原典とした一曲。白鷺城の天守で出会った美しい異界の姫と鷹匠の恋を、しゃけみーが妖艶に歌い上げると、ダンサーもチームCのパフォーマンスを優雅かつ大胆なダンスで魅せた。続いたのは『伊勢物語』をベースとした歌で紡がれた「花ほどく」。桜の下、舞を交わす二人の貴族。片方の青年貴族の想いを代弁するように歌が会場へと沁み渡っていった。情緒と風情を宿したチームCのあとに登場したのは藤田と齋藤。チームKのバレンタインイベント曲である「Temptation Game」を初披露。ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの小説『危険な関係』を原典に、快楽と誘惑のゲームに身を投じる男の物語を歌う。男性的な藤田の歌声と絡み合うような甘さある齋藤のボーカルで響かせるストーリーは、甘美ながらスリリング。同じテーマから生まれた齋藤と松本の歌う「caprice of love」では、デュエットの相手を藤田から松本へと変え、ソウルフルな歌をフロアへと放った齋藤。ダンサーもジャジーなピアノの旋律の躍動を体現して見せると、続いたのはピュアさや透明感ある歌声が印象的なチームPの「はつ恋」。Kradnessとあじっこが柔らかな歌声を紡ぐと、RYOMAとHAYATEが情感たっぷりのダンスで楽曲を彩った。

ここからトークはチームPの3人の時間へ。「チームP勢揃いです!」と笑顔を見せるあじっこ、Kradness、スタンガン。ここまで2人でやってきたチームP曲を3人で、チームの魅力も楽曲の魅力も色濃く伝えることができると意気込みを見せる。

あじっこによるブラスタ語りの後には、3人歌唱での「虹の彼方へ」。ここまでKradnessとあじっこで聴かせてきた曲を3人で響かせる。2人の声にスタンガンの声が重なると、これまで以上にパワーが漲る。ダンサーも加わり、甘く可愛らしいスタンガンの歌声が響けば、会場も笑顔に。真珠が混成チームを率いてケイに挑んだ「Without her?」が響く。『戦争と平和』がモチーフとなった切なくも優しく紡がれた恋の歌を、切々と歌い上げるスタンガンの歌声がフロアを浸食していった。

しっとりとした空気を破ったのはダイナミックなギターの音と小林の歌。「仮面は闇に溶けて」でシャウトとはまた違う伸びやかで繊細な歌声を聴かせると、続くチームBは「雷神」で会場を大きく揺らす。さらに「日蝕」で圧倒的な一体感とグルーヴを作った後には、またも会場の雰囲気が一変。静けさの中で、「Purple Dawn」のイントロが。シラーの詩である『歓喜の歌』に感銘を受けたベートーヴェンがその感動を楽曲にした交響曲第9番の第4楽章を基にチームCが音を紡いだピアノダンスチューンの前奏部分で、美しくも力強い4人のダンサーが躍動する。そしてしゃけみーが登場。チームCの本領を体感させる鼓動のビートと、優美さある音の粒子とがグルーヴするナンバーでフロアを席捲する。

そんな夢を見たような時間の後に登場したのは、豪奢なマントに身を包んだ藤田が、BLACK LIVE Ⅱの衣装を着用しステージに登場。圧倒的な王者感を纏った彼が歌うのは「華麗なる誘惑」だ。オペラ『椿姫』を原典とした情熱的な愛の歌で会場を藤田が支配する。「横浜盛り上がってるかー!」と叫ぶ藤田に会場は大きく腕をあげて応える。ダンサーを率いて、王者のステージングを見せると、曲終わりで齋藤と松本が登場。チームKによるMCの時間に。

「待ってました!寂しかった!」と松本と齋藤に笑顔を見せる藤田。アンダーの夜光はケイ、吉野、どちらの曲も歌える存在でありたい、と話も盛り上がる。そしてチームKの王者感たっぷりな衣装を見せつつ、ここからチームKのショウを見せる。松本の「マイダンサーズ!カモン!」の掛け声でYU-TAらダンサーが姿を現すと、まずは夜光の「波のままに」で松本が猛々しい歌声を響かせる。続いたのは藤田。アメリカの作家であるF・スコット・フィッツジェラルドによる『グレート・ギャツビー』を原典とした「ONLY IF」で大富豪の憂いと恋慕をダイナミックに歌うと、そこに齋藤が登場。2人のボーカルで紡ぐ運命の恋の歌「花はかすかに」でチームKのドラマティックなショウの世界を繋ぐ。

 

美しいジプシーの女性・カルメンを想うドン・ホセの心模様をダンサブルかつ華麗なサウンドで響かせ、さらに続いた「Halloween Night」では齋藤がおどろおどろしいダンサーのパフォーマンスと共に、リズミカルにハロウィンソングを聴かせた。さらにチームKはここから真骨頂を迎えることに。ジャコモ・プッチーニのオペラ『トゥーランドット』に起因する「Crazy for」で、チームKの豪華な衣装に身を包んだダンサーとともに、自身もステップを踏み、ドラマのある世界を体現する藤田。そしてブラスタファンにとっては“救国ソング”とも言われるチームKを象徴するような「During the demise」へ。ゲーム内でも最も早い段階で実装され、ファンにとっては一番長い時間を共にしてきた曲のひとつである珠玉ナンバー。オペラ『ローエングリン』を原典としながらも綴られるメッセージはケイからスターレスへの警鐘か、愛のメッセージか…!? そんな一曲を藤田が歌い上げる隣で齋藤のコーラスとShumei、HAYATE、YU-TAが色を添えた。

シンガー全員が藤田と齋藤を迎えるようにステージへと集合すると、口々に「華やか!」「王国!」と称賛の声をあげた。ここでダンサーが紹介される。楽しい時間はあっという間。ラストスパートを前にシンガーが一人ずつ、感想を語る。
「今日、チームPの楽曲を歌わせていただいて、すごく幸せな気持ちをみなさんに届けられたんじゃないかなと思っています。ツアーも折り返しです。まだまだ弾けていきますのでよろしくお願いします!」(あじっこ)
「シンガーが全員揃って、何がいいって、賑やかで楽しいよね。シンガーさんがいない公演はその想いを背負ってやらせていただいていたんですけれども、全員が揃うと個性全開のシンガーたちなので、僕たちも本当にやりがいがあります」(Kradness)
「今回の公演から参加させていただいたんですけれども、こんな素晴らしい景色が見れて楽しかったです。今、ここにいるみんなよりも僕の方が楽しんでいました!ありがとうーーー!」(スタンガン)
「玲くんがこの後参加できませんが、チームKはお任せください。」(松本明人)
「みなさんと一緒にこのステージに立てたこと、そしてシアタースターレスの一員としてみなさんの前に立てたこと、みなさんに会えたこと、本当に幸せな一日でございました」(藤田玲)
「今日は記憶にも新しいバレンタインイベント曲も唄わせて頂き、込み上げるものはあったけど、俺たちは負けていないと思っているので、これからも吉野の歌を一生懸命届けていきたいと思います。」(齋藤知輝)
「ついにチームCの楽曲をここから披露できたということで。1月にここKT Zepp Yokohamaでライブをやりましたけれども、歌いながら毎回感動しています。残りの公演は全て出ますので、よろしくお願い致します」(しゃけみー)
「曲が増えれば増えるほど、曲の隙を見つけて、もっとこういうことが出来る、こういう遊びが出来る、と自分たちでも発見してパフォーマンスに繋げていけている気がして。残り3公演でもっと曲が化けていくんじゃないかなと思います」(Takuya IDE)
「ツアー序盤から思いっきりかっ飛ばしてきたツアーでしたが、この折り返しでまた特別な楽しみ方が出来たんじゃないかなと思っております。このステージはもちろん、裏でもみんな全力で楽しんでいて。そこが尊敬できるし、だからこそスターレス感があるんだろうなと思っています」(小林太郎)
藤田の曲紹介から再開したラストスパートは、2周年の全員曲「ego」。重厚で荘厳なイントロに合わせて、強い想いと意思を孕む歌が繋がれていく。それぞれの“ego”が剥き出しとなった一曲のあとには、モーリス・ルブランの『奇巌城』を原典に回答真摯ルパンと彼を追う男たちの物語を、藤田が華麗なダンスで魅せながら歌い上げる「エギーユ・クルーズ」が響く。ダンサー全員がチームKの世界観である豪華で煌びやかな衣装を着用し魅せたステージは圧巻の迫力。ゴージャスに煌めく楽曲がオーディエンスの心を躍らせてライブは幕を閉じた。ツアーの中間地点で、全シンガーが揃い、より一層5つのチームのそれぞれのカラーが楽しめた至福の時間。ここでパワーを得たシンガーたちはツアーの残りも観客の心を熱狂させるショウを見せてくれるに違いない!次なるステージへ。想いを馳せよう。

 

TEXT BY えびさわなち

 

▼出演者
藤田玲 (ケイ Singer)
齋藤知輝(Academic BANANA) (吉野 Singer)
松本明人(真空ホロウ) (夜光 Singer)
小林太郎 (晶 Singer)
あじっこ (リンドウ Singer)
Kradness (マイカ Singer)
スタンガン (真珠 Singer)
Takuya IDE (ヒース MC)
しゃけみー (柘榴 Singer)

 

▼DANCER
PASSION
理土
HAYATE
TORA
SHIMa
たぬき
渡辺謙典
RYOMA
Shumei
巽imustat
YU-TA
TAKAHIRO

 

▼STAFF
総合演出:福山 桜子
音楽監督:阿部 隆大
振付:楢木和也 (梅棒)、泰智 (KoRocK)、CluMsy CracKer-Jack、
制作:株式会社ONTASTE
主催:DONUTS